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事務局からのお知らせ

2018.05.29

弁護士知財ネットは、日韓知財司法シンポジウムを開催致しました。

弁護士知財ネットは、下記のとおり、日韓知財司法シンポジウムを開催致しました。

日 時 : 平成30年(2018年)4月20日(金) 14時~17時45分
場 所 : 京都市国際交流会館
共 催 : 日本弁護士連合会/弁護士知財ネット/韓国知財弁護士協会(KIPLA)
後 援 : 法務省法務総合研究所
協 力 : 知的財産権法研究会/科学と法律の会(SLA)

プログラム(概要)〔総合司会:林いづみ 弁護士(弁護士知財ネット事務局長)〕

  • 開会挨拶:小松陽一郎 弁護士(弁護士知財ネット理事長)
  • 基調講演(1):清水 節 知的財産高等裁判所所長
    テーマ「実用品のデザイン保護の今日的動向」
  • 基調講演(2):韓奎現 ソウル高等法院知財専担部部長判事
    テーマ「韓国の知的財産訴訟制度の特徴」
  • 基調講演(3):伊藤浩之 法務省法務総合研究所国際協力部副部長
    テーマ「アジアにおける法制度整備支援-知的財産権に関連して」
  • ミニセッション①「営業秘密に関する判決及び実務の動向」
    モデレータ:李厚東 弁護士(韓国)
    発表:金元 弁護士(韓国)/星 大介 弁護士(日本)
    討論:全應畯 弁護士(韓国)/早川尚志 弁護士(日本)
    コメント:鄭沢寿特許法院判事/鶴岡稔彦知財高裁第3部部長判事
  • ミニセッション②「デザイン保護の実務的動向」
    モデレータ:中務尚子 弁護士(日本)
    発表:大住 洋 弁護士(日本)/郭富圭 弁護士(韓国)
    討論:末吉 亙 弁護士(日本)/洪東午 弁護士(韓国)
    コメント:清水節知財高裁所長判事/鄭沢寿特許法院判事
  • 閉会挨拶:韓国知財弁護士協会(KIPLA) 韓相郁 会長

まず、小松陽一郎弁護士知財ネット理事長(当時)から、「平成29年(2017年)4月下旬にKIPLAのお招きにより弁護士知財ネット及び日弁連知的財産センターの訪問団がソウルを訪問してちょうど1年。今回は京都の地で日弁連も共催団体となり、法務省法務総合研究所にもご後援を頂き、知財高裁所長を始め日韓両国の知財裁判所の立役者が4名も参加して頂いて本シンポジウムが開催できたことは大変意義深い」との開会挨拶がなされました。

(弁護士知財ネット小松陽一郎理事長(当時)による挨拶)

続いて、清水節知的財産高等裁判所所長から、「実用品のデザイン保護の今日的動向」とのテーマで基調講演が行われました。その中では、わが国における実用品のデザイン保護法制を鳥瞰し、現在の到達点をわかりやすく解説されました。

その後、韓奎現ソウル高等法院知財専担部部長判事から、「韓国の知的財産訴訟制度の特徴」とのテーマで基調講演が行われました。その中では、韓国の民事訴訟、知財訴訟のIT化の進展状況について、動画を交えて非常に分かりやすくご解説頂きました。

そして、伊藤浩之法務省法務総合研究所国際協力部副部長から、「アジアにおける法制度整備支援-知的財産権に関連して」とのテーマで基調講演が行われました。その中では、日韓法曹関係者の交流・友好の歴史やわが国の東南アジア諸国に対する法制度整備支援の展開状況など、日頃、個別事件の対応に追われている弁護士にとっては非常に新鮮で、かつ高い視座からのグローバルなお話があり、大いに参考になりました。

基調講演後は、「営業秘密に関する判決及び実務の動向」、「デザイン保護の実務的動向」をテーマに2つのミニセッションが行われました。各セッションでは、それぞれ、日韓の法制度や実務の異同等が発表・討論され、日韓の裁判官からそれぞれコメントがなされました。

(基調講演及びセッションの詳細については、L&T81号に掲載予定です。)

最後に、KIPLAの韓会長から、「日韓ともに若い弁護士に引き継ぎながら、今後もこのような交流を続け相互理解・研鑽を深めていきたい。」との閉会挨拶がありました。

 

なお、韓奎現ソウル高等法院知財専担部部長判事の基調講演において、韓国の民事訴訟のIT化の進展が紹介されましたが、我が国においては、本シンポジウムに先立つ2018年3月30日、内閣官房から、「裁判手続等のIT化に向けた取りまとめ-「3つのe」の実現に向けて-」との報告書が出されたところでもあり、参加した日本の弁護士の多くは韓国のIT訴訟の進展に大変驚きました。

韓国では、すでに、上記「取りまとめ」によるところの「フェーズ3」の段階まで進んでいますが、そのプロセスとしては、知財訴訟から実現されていったというご紹介がありました。日本では無効審判の口頭審理や知財訴訟の技術説明会でパワーポイントでの説明等が行われていますが、上記「取りまとめ」19~20頁には「IT化された手続に親和的と考えられる知的財産など特定の分野を取り扱う専門訴訟からの段階的実施も、選択肢として十分あり得るものと考えられる。」との指摘もありましたので、我が国の知財訴訟関係者にとって、今後の知財訴訟のIT化に向けての情報の共有が有意義だと思われましたので、今般ご紹介いただいた大韓民国大法院制作のIT訴訟の紹介動画について、弁護士知財ネット会員等への共有を打診したところ、韓国の電子訴訟システムの紹介という目的以外には使わない、との条件で会員に限り閲覧できるようにさせていただきました。当該動画は、弁護士知財ネット会員専用ウェブサイトを通じて閲覧できるようになっております。

弁護士知財ネット会員専用ウェブサイト:https://iplaw-net.com/wp-login.php

(会場玄関風景)

(玄関前立て看板)

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