営業秘密の帰属についての第1回コラム及び第2回コラムに対する追っかけコラムです。不正競争防止法2条1項7号は、営業秘密を事業者から「示された」者による不正利用行為を規律していますが、従業員が自ら開 発したノウハウや自ら収集した顧客情報等を不正利用した場合に、そもそも当該従業員は、営業秘密を事業者から「示された」といえるでしょうか。この従業員創作型の営業秘密に関する問題は、しばしば起こりますが、学説でも肯定説・否定説があるとおり、なかなかの難問です。そこで、本コラムでは、実務上の参考としていただくべく、「示された」の要件が問題となった裁判例(原価セール事件,投資用マンション事件等)をご紹介します。